更新日:2013.05.23 |
関税率がオレンジ果汁の国別輸入量に大きな影響を与えていることを追考したい。
2012年のオレンジ果汁の輸入量は財務省の通関統計によれば83,791tであった。
5年前の2007年と比較すると、輸入総量は同程度ながら国別輸入量に大きな変化が見られる。
日本の濃縮オレンジジュース(FCOJ)輸入推移(弊社HP内果汁情報より)
2012年度 2007年度
ブラジル 63,973t 71,723t
米国 375t 2,298t
イスラエル 10,882t 6,336t
メキシコ 4,362t 2,901t
その他 4,199t 1,190t
83,791t 84,448t
この統計からは一般にオレンジ産出国として名高い米国からの輸入が、案外少ないことが判明するが、5年間の変化の特徴はイスラエル産とメキシコ産の台頭である。その主な要因こそが2国からの輸入品に掛かる関税率である。
イスラエル産の果汁はその特殊な成分比率により、ショ糖が極端に低いために輸入に際して、本来25.5%である関税率がショ糖10%以下の果汁に適用される、21.3%が用いられている。4.2%も低いために競争力がある。
オレンジ果汁の成分はショ糖・果糖・ブドウ糖の割合が約2:1:1であり、天然の果汁をそのまま濃縮した濃縮果汁(66Brix)ではショ糖の割合が10%以下になることはあり得ない。従って、イスラエル産の果汁は天然の果汁をそのままを濃縮して製品化したものではなく、何等かの加工を施された果汁であると見られる。
他国ではこのような逸脱した成分比率をもつ果汁は偽和果汁と呼び、消費者を欺く製品として扱われるが、日本では放置されている。
次にメキシコ産果汁であるが、メキシコと日本のFTA(2005年4月発効)により豚肉・牛肉などと共に低関税枠が設定されており、2013年現在、7,100tの割当数量の関税率は10.1%である。この関税率は以下の通り、毎年低下する予定である。
2014年 2015年 2016年
割当率 7,400t 7,700t 8,000t
割当内関税率 8.8% 7.5% 6.3%
関税率において不利な状況にあるブラジル産は、総輸入量が減少傾向にある。
今後TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発効されると、アメリカ産果汁に恩恵をもたらすものとなる。
ブラジル産果汁を取り扱う弊社としては、
1. 現行のオレンジ果汁に対する関税率を大きく引き下げて頂くこと
2. ブラジル国とのFTAの締結を求めること
3. 果汁本来の成分構成から離れる、偽和果汁を市場から淘汰させること
以上の3つを目標として、今後も強く発言して活動をしていきたい。
石川記す
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